核融合原型炉の内部機器
熱影響評価の研究

核融合・原型炉・真空容器・熱流動解析・TRACE

次世代エネルギーとしての核融合発電について安全性に関わる研究を行っています。原型炉において冷却水が漏洩した場合の真空容器における圧力・温度の過渡現象、また電源喪失時等における真空容器や内部機器の残留熱除去系の過渡現象について、TRACEコードによる熱流動解析のモデル化を検討し、熱影響の評価を行っています。解析のモデル化にあたっては、原型炉の機器に適したTRACEのコンポーネントの構築と妥当性評価を行っています。さらにTRACEコードによる入力データ作成から解析実行、結果評価にわたる解析技術については、核融合炉の熱影響評価として、ノウハウの構築を行っています。

浮体式原子力発電の研究開発への取り組み

浮体式原子力発電 ・ 揺動 ・ 傾斜 ・ 原子炉応答評価

カーボンニュートラルに向けた次世代軽水炉の開発として浮体式原子力発電の研究開発が進められています(産業競争力懇談会(COCN)のプロジェクトに参加)。これまでの実験技術と解析技術を結集して、浮体式原子力発電の揺動時、傾斜時における原子炉応答の評価や最適なプラント機器の開発を行っています。特に揺動時の炉心での核反応とプラント熱流動を重畳させた解析は古谷研が唯一担当して研究を行っています。またプラント機器においては、安全機器のスロッシング対策や浮体揺動に適した計装制御機器の開発を行っています。これらの研究成果については、国内外のネットワークを活用して総合的な評価を行っています。

冷却限界の向上策の開発

IVR・3Dプリンター・付加造形・沸騰冷却・限界熱流束

原子炉・核融合炉や高出力レーザーから発生する膨大な熱負荷に耐性(CHFの大きい)のある特殊形状の合金製多孔質伝熱板を3Dプリンタによって造形し、実験と解析を通して性能を評価しています。最近の研究では、煙突構造を設置することで冷却限界が更に向上することが判明しました。

マイクロスケールの液滴制御法開発

マイクロチャネル・シミュレーション・微小液滴制御

放射性物質の化学反応の研究をより安全に高速に行うために、マイクロスケールの微小液滴制御法を開発しています。液滴が微小であれば有害性は小さく、また反応時間も短くなるため、より微小なスケールにおける液滴の分離・合体・生成挙動を制御することが求められています。本研究では、CFDシミュレーションや実験を通して、シングルミクロンスケール(数μm)における液滴制御を実現しています。

多次元熱流動解析
(温度成層化メカニズムの解明)

燃料プール・PIV・温度成層化・シミュレーション

原子力発電所の使用済み燃料プールの冷却機能が喪失した際に発生する、温度成層化現象のメカニズムの解明のための研究を行っています。温度成層化が発生すると、冷却水の蒸発が促進され作業環境の低下が懸念されるため、油膜を水面上に張る方法などを用いて水位低下の抑制を図っています。実験では粒子画像流速測定(PIV)やサーモグラフィーを用いた解析を行い、水槽内の温度や流速の変化を測定しています。

スロッシング解析
(浮体式原子力発電所)

TRACE・Dam Break・浮体式原子力発電所・シミュレーション・CFD・スロッシング

浮体式原子力発電所において、高波などによって揺れを受けた際の水プールのスロッシング解析を行っています。浮体式原子力発電所は都市部から離れた地域で発電を行える上、活断層や海底火山などの地形リスクが発見された場合でも遠方に移動できるといったメリットがあります。この研究では、TRACEを用いたスロッシング解析を行い、浮体式原子力発電所の揺れに対する安全性を検証します。

原子炉容器外部からの炉内構造把握

実験・解析・超音波フェーズドアレイ・非破壊検査・ディープラーニング

ナトリウム冷却高速炉の新たな点検手法として、超音波フェーズドアレイを利用した、原子炉容器を開放せずに外部から炉内構造を把握する手法を開発します。本研究により、ナトリウム中に設置された機器に対する保全の向上や、検査時間短縮と炉内構造物への負荷低減が実現できます。

非接触レーザー計測による回転機の予知保全法

実験・解析・レーザー変位計・非接触予知保全法・ディープラーニング

非接触レーザー変位計を用いて、発電所で用いられるタービンなどの回転機の予知保全を、機械学習で診断する手法を開発しています。非接触測定により施工やメンテナンスににかかる多大な費用や労力を削減可能です。データにノイズが入りやすいため、分類学習と深層学習により解析することで故障の予知を実現します。

光ファイバー温度計を用いた温度場・速度場同時計測

実験・光ファイバー温度計・速度場計測

光ファイバー温度計を用いて、同一装置にて温度場と流速場の両方を高い時間・空間分解能で計測する手法を開発しています。金コーティングした光ファイバーをパルス加熱することで、流速と温度の時間変化の相関から温度場と速度場の同時計測を実現します。

PIVとLIFによる温度場・速度場計測システムの開発

実験・解析・CFD(数値流体力学)

原子力発電所の使用済燃料プールの温度成層化現象をより深く理解するため、粒子画像流束測定法(PIV)及びレーザー誘起蛍光法(LIF)に基づく温度場・速度場計測を行い、数値流体力学(CFD)シミュレーションのモデルを開発しています。

AIによる高速炉ナトリウム
漏洩検知法の開発

AI・実験・解析・予知保全

高速炉蒸気発生器におけるナトリウム漏洩を早期に検知する技術を開発しています。本研究では、蒸気発生器を模擬したループで気泡を発生させ、容器外からレーザーや加速度計から得た振動データを教師あり学習し、事故の発生を早期に検知することを目指します。

使用済燃料貯蔵プール
における配置アルゴリズムの開発

AI・強化学習・解析・線形計画法・アルゴリズム

AI強化学習や線形計画法を利用して、燃料の配置を検討するアルゴリズムを開発しています。燃料は崩壊熱により発熱しているため水プールに沈めて保管します。プール内での冷却性を向上するために、比較的崩壊熱の高い燃料同士が隣接して配置しないように設計します。

放射性物質の分流のための
マイクロ流路作成

実験・マイクロリアクター・シミュレーション

原子燃料再処理工程において、溶媒抽出などの化学反応速度データの取得が重要です。放射性レベルが高い溶液を扱う際には、マイクロリアクターを用いることで、設計に用いる移行係数などの取得が安全且つ効率的に実施できます。本研究ではその基礎となるマイクロリアクター内での微小液滴生成技術を開発します。

材料化学を利用した
次世代センサーの開発

実験・キュリー温度・PTC材料・センサー

原子炉(PWR)冷却材の炉心出口温度の新たな計測手段として、耐放射性を考慮したPTCサーミスタの開発を行っています。本研究では、既存のPTC材料に新たな素材を加えることで、キュリー温度(抵抗が大きく変化する点)の高いPTCサーミスタの開発を行っています。

付加製造技術(3Dプリンタ)
を用いた高性能伝熱板の研究

実験・IVR・3Dプリンター・冷却・伝熱・限界熱流束

原子炉・核融合炉や高出力レーザーから発生する膨大な熱負荷に耐性(CHFの大きい)がある特殊形状の合金製多孔質伝熱板を3Dプリンタによって造形し、実験を通して性能を評価しています。

究極の沸騰冷却を目指して

実験・画像解析・流動可視化・流動予測・限界熱流束・CFD

気泡の成長や流動を画像解析し、原子炉設計に最適な流動構造を見出します。気泡の動きを正確に把握することで、冷却水が乾いてしまう限界出力が分かるなど設計に活かすことができます。

3次元造形によるトポロジー活用

3Dプリンタ・デジタルツイン・スケール効果・トポロジー最適化

計測・制御を一体化させたスケーラブル実験(3Dプリンタ)とシミュレーションを融合させたデジタルツイン技術を開発しています。 3Dプリンタは金型などの容器の代替として利用されています。 なお、本研究でのデジタルツインとはあるひとつのデザインのみで実験と解析の互換性を作るシステムのことです。

燃料プール水の蒸発抑制

実験・安全対策・燃料プール・蒸発伝熱

原子炉燃料プールにおける冷却水の蒸発抑制方法を考案し、実験しています。福島第一原子力発電所事故のように電源を失った際に、自動的に水の蒸発を低減し、建屋の温度と湿度の上昇を抑える対策を開発しています。

二酸化炭素を資源に

電気化学・触媒・有機合成・二酸化炭素・資源化

二酸化炭素を価値が高くニーズの多い資源(エチレンなど)にリサイクルする触媒を開発しています。また二酸化炭素を地球温暖化防止のために地下深く埋設する際にも活用することができます。

時系列解析によるプラント診断

ノイズ解析・機械学習・プラント状態診断・予防保全

ディープラーニングや時系列解析によりノイズにみえる微小振動から、プラントの状態を判断します。小さな信号からもプラントの異常を予知できます。